esuの本がある暮らし

本を読むって、面白いしためになるし、ほかの人にも伝えたい。だけど良さを伝えるのって難しい・・・少しでも読んだ本たちの魅力が伝わりますように。

訪日アメリカ人になったつもりで『わが心のジェニファー』感想

訪日外国人4000万人の時代なので、

本屋さんでもちょっと前から猛烈プッシュ!

 

アメリカ人青年が初めての日本ひとり旅で奮闘する物語。

わが心のジェニファー』、浅田次郎、著

 

わが心のジェニファー (小学館文庫)

わが心のジェニファー (小学館文庫)

 

 

 

 

 

浅田次郎が描く米国人青年ニッポン発見の旅 

日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。ニューヨーク育ちの彼は、米海軍大将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。
日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受け、初めて泊まったカプセルホテルに困惑する。……。慣れない日本で、独特の行動様式に戸惑いながら旅を続けるラリー。様々な出会いと別れのドラマに遭遇し、成長していく。東京、京都、大阪、九州、そして北海道と旅を続ける中、自分の秘密を知ることとなる……。
圧倒的な読み応えと爆笑と感動。浅田次郎文学の新たな金字塔!

amazon商品紹介より)

 

外国人の目線から見た日本を好意的に捉えていること、

これってその他エッセイでもテレビ番組でも

大衆受けしやすい内容なんだなあと思います。

 

誰だって自分の国が褒められたらうれしいので。

というか単純に私がその手の話はわりと好物です。

 

 過去の日本へのしがらみと

今目の前の日本への感情を交互に楽しむ

あらすじにあるように、主人公・ラリーが日本へ旅するきっかけとなるのは

日本びいきの恋人・ジェニファーより、結婚の条件として日本への理解を深めること、を挙げられたため。

 

彼本人は、日本嫌いの退役軍人の祖父に育てられたため

あまりいい印象を持っていない、という時点からスタート。

 

そしてことあるごとに、

成長期に幾度となく聞いてきた

過去、日本人がどれほど卑怯で野蛮な人種だったかという

祖父が話していた光景を思い出す。

 

回想と現在の日本で初体験に感動するシーンは交互にやってくるため

非常にテンポよく読み進められるようになっています。

 

控えめに言って、楽しい(笑)

 

 

見どころは浅田次郎ならではのユーモア溢れる表現達

 

本筋とはそれますが、

主人公・ラリーが日本で初体験するびっくり加減や感動加減を

面白おかしく書き上げる様がやはりずば抜けているというかなんというか。

 

例えば、新幹線。

駅に停車する乗降時間はわずか1分

 

その間に降りる客は荷物をまとめて駅に着く前からデッキで待機

乗る客はホームで整列して待機

うまいこと1分間の間にすべてが完了する様子が

 

当たり前のこととしてなんとも思っていなかったけれど

作中のラリーの目には非常に新鮮で滑稽な様子として映る。

 

 

また、食についてもラリーの感動は続く

以前に読んだ『英国一家、日本を食べる』を彷彿とさせる

日本食の描写。

思わずこの本もエッセイだっただろうかと間違いそうになるほど。

浅田次郎氏、相当研究されてる・・・

 

外国人が日本食を食べまくるノンフィクションストーリーはこれ

 

esuxrb.hatenablog.com

 

 それもそのはずで解説まで読むと

浅田次郎さんは本書の執筆にあたり、外国人に訪日時の興味関心ごとを

丁寧にインタビューしてまとめたそう。

 

だから、日本人が思ういかにも、なわざとらしい感じが少なく読めるのだな

と納得。

 

おすすめ。